レポート(2)
問題1
2つの平行平板電極からなるキャパシタに関する以下の設問に答えよ。
ただし、電極の法線方向をx軸にとり、
陰極の位置をx=0、陽極の位置をx=dとせよ。
(a)
電荷の存在しない電極間の電位Vの分布を、ポアソンの方程式を解いて求めよ。
ただし、
陰極の電位を0、陽極の電位をV0とする。
(b) (a)の結果を用いると、電極間の電場のx成分はどのような式で表わされるか?
(c) x軸に垂直な電極の表面の電荷の面密度の大きさσは
電束密度のx成分の大きさに等しい。σはどのような式で表わされるか?
問題2
(a) 磁場(磁界)Hと磁束密度Bについて、定義や違いがわかるように簡潔に対比して説明せよ。
(b) 磁石の上に置かれた紙に撒かれた鉄粉が描くのは磁力線か、磁束線か?
また、低エネルギーの電子が巻きついて運動するのは磁力線か、磁束線か?
いずれも、根拠を挙げて解答せよ。
問題3
原点にx方向におかれた磁石1(磁気モーメントpms=qmsds)が
点(x,y,z)に
作る磁位(磁場のスカラーポテンシャル)は、磁石の長さdsが
r=(x2+y2+z2)0.5に比べて
十分小さい時、
Vm = (pm/4πμ0)(x/r3)
で与えられる。以下の設問に答えよ。ただし、採取結果に磁気量(qmsなど)が残ってはいけない。
(a) 磁石1が作る磁場のx成分Hxの式を導出し、x軸上にx=r0の点にy方向に置かれた
磁石2(磁気モーメントpmt=qmtdt)が受ける磁気力のx成分Fx
を計算せよ。
磁石2はx方向にはどのような運動をすると予想されるか?
(b) 同様に、磁石1が作る磁場のy成分Hyの式を導出し、
磁石2が受ける磁気力のy成分Fy
を計算せよ。磁石2はy方向にはどのような運動をすると予想されるか?
問題4
アジアで最初に合成・発見された原子番号113のニホニウム278は、
ビスマス209(原子番号83)に加速した
亜鉛70(原子番号30)の原子核ビームをぶつけて生成された。
(a)
合成されるニホニウムの大きさ
(約10-14 m)程度まで接近したときの、ビスマス209が作る静電ポテンシャル(電位)は
何ボルトか?ただし、無限遠点での静電ポテンシャルはゼロとせよ。
(b)
(a)の結果を用いると、ニホニウムを合成するには少なくともどれだけの
運動エネルギーを亜鉛70に与えねばならないか?
注意
解答は、全てこちらの用紙をダウンロードし、
学籍番号などを記入して、ワープロ作成し、印刷して提出すること。
(提出は授業支援システムからのオンライン提出に変更します。12/23修正)
ページ数は最大3ページとし、裏面への記載は評価しないので注意すること。
複数枚の解答用紙には、全て最初のページと同様のヘッダをコピーし、
さらにページ番号の記入をすること。全体を
ホッチキスなどで留めることは固く禁止する。
用語の説明問題では、単なる言い換えは問題外。読んだ人が頭をひねるような
複雑な長文や安易な指示語、接続語は避けること。
証明問題では
単なる式変形ではなく、その式がどのような物理的意味をもつ式であるかを
適切に説明しながら記述を進めること。式だけの解答は大きな
評点を与えない。
(電荷密度や誘電率の単位を考慮し、等式の両辺や加減している項の間で次元や単位が
同じであることを常にチェックせよ。
数値の計算問題では、まず用いる式を明示し、その式の右辺の文字に代入する
数値と単位を明示すること。最終結果の数値や単位も、問題の趣旨に
ふさわしいものであるかどうかを必ず吟味すること。
最終提出期限は1/13の授業開始時とする。
病欠等の場合は個別に対応する。
ヒント
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問題1
デカルト座標形でのラプラシアンの表式を確認せよ。
解くべき式はxについての2階微分方程式となる。
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問題2
2つの専門用語の類似点と相違点がわかるように解答すること。
特に(b)ではどのような現象に関係しているかを考察してから解答すること。
単位の異なる物理量を同じものと混同してはならない。
文章の内容だけでなく、解答のレイアウトにも工夫を凝らすこと。余白、
図、表、式を効果的に使って分かりやすい文書に仕上げること。
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問題3
磁石1の作る磁場Hのベクトルは、Vmの勾配に負号を付けたものである。
磁石2のN極が(r0, dt/2,0)、
S極が(r0, -dt/2,0)にあることに注意し、
両磁極が受ける力を足しあわせると、磁石2が受ける力となる。。
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問題4
ビスマス209を源の電荷、
亜鉛70を試験電荷と考えよ。
(last modified at 24th Dec. 2020)