今回の改定では、プランク定数やアボガドロ数といった 基本的な定収が規定量とされた反面、これまで規定量だったものが 測定量となったので注意が必要。ただし、日常的には 全く影響はない程度の変更である。
国際的に通用する単位を決めるにあたって人ではなくて地球を基準に選んだ。 (極を通る地球の円周の4000万分の1が1メートル。)これだと、どの国も 文句の付け様がなく、こうやって決めた1メートルを刻んだメートル原器が 多くの国に配布された。
その後、放電ランプの光の波長の測定精度が上がると困ったことが 起った。同じ作りの放電ランプを同じ条件で点灯したのに、波長が 国毎に異なるということが明らかになった。これは、国毎のメートル原器の 精度のばらつきによる物だとわかり、クリプトン86の放電ランプの 橙色の光の波長を長さの基準とするように変更された。 そのかわり、地球の微小な変形を観測することができるようになった。
さらに、レーザー技術の進歩とともに、光速度の精密測定が可能になったが、 測定精度が頭打ちになり、レーザーを利用した月までの距離の測定に支障が でるようになった。これは結局、波長を決める長さの基準の精度による物で あるため、真空中の光速度を基準(定数)として長さの基準とする様に 改定されている。
2019年からは、プランク定数を規定量として 特定振動数の光子のネネルギーを質量エネルギーの 基準としている。
2019年からは、アボガドロ数(規定量)個の要素粒子を含む 物質量を1モルと再定義された。 (従って、炭素12の1モルは厳密には12グラムではなくなっている。)
しかしながら、 熱力学第二法則に基づくカルノーサイクルの 効率からこの絶対温度の比が求められる。 そこで、水の三重点を基準として 温度の単位が決められていた。 (なお、統計力学的には、ホルツマンの定義したエントロピーを 内部エネルギーで微分したものの逆数が温度になることが知られている。) 従って、この定義では水の融点は273.15K(摂氏0度ではなくなっており、 沸点も同様である。
2019年の定義改定では、 内部エネルギーをボルツマン定数で除して決定される。 (理想気体であれば、さらに3/2で割る必要があり、理想固体なら3で割って 最終的に温度を決める。)
2019年の定義改定では、 電荷量の1クーロンが規定量である電気素量からまず定義され、 アンペアは単位秒当りのクーロン電荷量としての定義に変更された。 従って、 μ0(従って ε0も)は、微細構造定数の精度の不確かさを 持つ測定量となった。