量子放射線の材料科学分野へ利用


量子放射線の定義

正しい定義を知らないと、 物事を正しく理解できないし、 お互いにコミュニケーションが取れない。
放射線(radiation)
電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもので、 政令で定めるもの(原子力基本法)
一  アルフア線、重陽子線、陽子線その他の重荷電粒子線及びベータ線
二  中性子線
三  ガンマ線及び特性エックス線(軌道電子捕獲に伴つて発生する特性エックス線に限る。)
四  一メガ電子ボルト以上のエネルギーを有する電子線及びエックス線

粒子線、粒子ビーム(Particle beam)
荷電粒子または中性粒子の流れで、多くは光の速度に近い高エネルギーのもの

ビーム(beam)
粒子またはエネルギーのせまい流れ

粒子束(flux)
単位時間に単位面積を通過する粒子数

流束(flux)
ベクトル場を面積分したスカラー量で、ベクトル場の強さを表す

光線(ray)
幾何光学における概念であって、理想化された狭い光のビーム。 光線によってひかりの進行方向とエネルギーの伝播方向を示す。

光束(luminous flux)
異なる波長に対する肉眼の感度の違いを考慮した光のパワー

レーザー(laser)
輻射の誘導放出による光増幅(light amplification by stimulated emission of radiation)

量子(quantum)
相互作用における物理量の最小単位。

プラズマ(plasma)
放射線が滝ならプラズマは池。


原子と原子核

原子は0.1ナノメートル程度の大きさで、化学で言うところの元素の実体と 考えてよい。通常、軌道電子を介した電磁相互作用によってより大きな 分子や反応基を構成する。

原子核は10フェムトメートル程度の大きさで、複数の核子が強い相互作用で 結びついたもの。いわゆる原子力は、この核力エネルギーを開放して得られるもので あるので、原子核エネルギー(Nuclear power)と言う方がふさわしい。


量子放射線の発生


元素と核種

元素は化学的性質(主に最外殻電子で決まる)にもとずいて 分類されたものであり、放射性、非放射性と区別することは 本来意味がない。(この場合、放射線は原子核の性質で 出るかでないかが決まる。)天然、人工を合わせて115個の元素の存在が知られている。(2012年までに)

核種は同じ数の陽子および中性子 を持つ原子核のこと。 核種数は元素数よりはるかに多い。(安定核種は約300、放射性核種は約1700) 不安定核種の寿命は極めて短いものが多く、人工的に形成されてその存在が初めて確かめられたものも 少なくない。(ただし、天然に存在したことがないわけではない。)人間が確認したのと同数程度の 核種の存在が理論的には予想されている。


元素(核種)の形成(由来)


宇宙放射線の源


材料原子、原子核との相互作用

電磁波放射線は物質中で軌道電子や原子核との相互作用で高エネルギー電子を 発生させる。従って物質とのミクロな相互作用は電子線と 同じと考えてよい。(巨視的な減衰は電子線よりずっと小さい。) 粒子放射線は物質中の原子や分子 と以下の相互作用してエネルギーを失い、最終的には停止する。 なお、極めてまれには原子核と相互作用して核融合や核破砕(超高エネルギーの場合) 核子や素粒子の対生成を起こすこともありうる。 中性子線(ニュートリノも?)は、有限の寿命で崩壊する他には原子核とのみ 以下のような反応をする。

放射線の利用

原子炉、RI、加速器などから得られる放射線は幅広い分野で使われており、 経済規模は東日本大震災以前の原子核エネルギー利用(主に軽水炉発電)に匹敵する。

原子核エネルギーの利用



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(last modified at 28th Sep. 2014)