原子力エネルギー工学特論レポート(3)
問題
以下の設問に解答せよ。
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問題1
地球の公転軌道の位置での、太陽からのエネルギー束密度は太陽定数と呼ばれ、
およそ1.4 kW/m2である。
(a)
太陽の光球面でのエネルギー束は太陽定数の何倍で、その値は幾らか?
(b)
太陽全体でのエネルギー生成率は幾らであると見積もれるか?
(c)
太陽の内部で核融合反応を起こしているのは半径の10分の1の中心部のみであると
仮定すると、この中心部のエネルギー生成密度はどれくらいか。
(d)
地球が太陽から受け取るエネルギーは最大限どれくらいか?
(ヒント)
太陽と地球の半径、及び地球の公転半径をまず調べよ。
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問題2
現在、建設が進められている核融合実験炉ITERでは以下のDT反応で核癒合エネルギーが解放される。
D + T --> 4He + n + 17.8 MeV
(a)
核融合炉心プラズマでは、
核融合パワー密度
PNF=(n/2)2<σv> EF
が
制動放射による放射パワー密度PR=PBSより大きく
なんていなければならない。
PNF及びPRを温度Tの関数としてグラフに描き、
Tについての必要条件を考察せよ。
ただし、重水素イオン、三重水素イオンの密度は電子の密度の半分、
温度は全て等しいとしている。
ヒント:PBSについては、宮本の教科書に
PBS=1.5 × 10-38 Z2 ne ni
(Te/e)1/2 [W/m3]
という公式が与えられている。ここで、Te/eはeV単位の電子温度、nはm-3単位の密度、
Zはイオンの電荷数である。
核融合反応率<σv>については、プラズマ核融合学会誌に
近似公式が掲載されている。
また、核融合反応あたりの生成エネルギー
EF=17.8 MeVは、ジュール単位に変換して使うことに注意すること。
(b)
天然に存在するトリチウムの多くは、宇宙線と気体分子の反応で作られ、その総量は
地球全体で年間約1018Bqである。
このトリチウムを全て用いると
熱出力1GWのDT炉をどれくらいの時間運転できるか?
(ヒント)トリチウム1グラムが何Bqの放射能を持つか分からない場合であっても、
ベータ崩壊の半減期12.32年を秒単位に換算してから崩壊定数を計算し、
利用可能なトリチウムの原子核数を
求めると、DT炉で生産可能な総エネルギー量を計算できる。
注意
解答は、こちらの用紙を
プリントアウトし、Wordなどのワープロソフトを使って作成し、3ページ以内のpdfファイルに変換し、
授業支援システムから提出せよ。 提出先および受付期間は、別途アナウンスする。
なお、提出するファイル名は BJG22001_anet3.pdfの様に自分の学籍番号(例ではBJG22001 としている)を入れておくこと。
この指示を守らない場合は、減点対象とする。
回答内容に不備があれば、個別に再提出を求める場合がある。
授業支援システムでは提出物の差替えは想定されていないので、
提出前に自己チェックできるように時間に余裕を持って提出すること。
レポートの内容、提出法等の質問はメールではなく、授業支援システムの
フォーラムに、学籍番号を明記し(氏名は不要)投稿せよ。
個人や友人間で判断した変更は、先に記載した様に、減点対象になる。
友人にヒントなどを教えてもらうことは構わないが、必ず自分で考えた
結果を提出すること。極端に類似の(丸写しの)レポートがあれば、全て0点と
評価するので注意すること。
(last modified at 10th July 2025)