原子力エネルギー工学特論レポート(3)

問題

• 問題1
  現在、建設が進められている核融合実験炉ITERでは以下のDT反応で核癒合エネルギーが解放される。
  D + T --> ⁴He + n + 17.8 MeV
  (a)　 燃料となる水素同位体DとTの質量はエネルギー単位でそれぞれ何GeVか？ また、このうち何% が核癒合エネルギーとして解放されることになるか？ (注意:水素同位体の質量は、質量公式では正確に計算できない。)
  (b)　 トリチウムは放射性同位体で半減期12.32年でベータ崩壊をするが、 地球の大気圏に入射する宇宙線は年間に72 × 10¹⁵ Bqの トリチウムを生成する。地球全体のトリチウムの平衡量は何Bqと予想されるか？ (ヒント：まず半減期から崩壊定数を計算せよ。)
  (c) 炉心プラズマの実効体積(核融合反応が起る高温領域の体積)を100 m³, その領域の電子数密度を　10²⁰ m^-3, イオン温度を 10 keV とするとき、1秒当たりの核融合反応数を計算せよ。ただし、10 keVでの 核融合反応率は　 DT反応で　< σ v > = 8 × 10^-23 m³/s、 を用いること。
  (d) ITERでは、運転時に4kgのトリチウム燃料が必要と言われている。 これは、原子数ではどれくらいか。また何Bqに相当するか？

• 問題2
  ITERのダイバーター板材料として選ばれたタングステンは ヘリウムイオンの照射を受けてファズ(fuzz)と呼ばれる 樹状構造を形成することが見出された。 これは、炉設計の上からは問題であるが、新しい材料を生み出す 可能性が指摘されている。 ファズを生じたタングステンの物理特性の変化を要約し、 それを利用した応用例について論ぜよ。
  (ヒント) ヘリウムイオン照射を受けたタングステンは 黒く見える。

注意

なお、提出するファイル名は BJG22001_anet3.pdfの様に自分の学籍番号(例ではBJG22001 としている)を入れておくこと。 この指示を守らない場合は、減点対象とする。 回答内容に不備があれば、個別に再提出を求める場合がある。 授業支援システムでは提出物の差替えは想定されていないので、 提出前に自己チェックできるように時間に余裕を持って提出すること。

レポートの内容、提出法等の質問はメールではなく、授業支援システムの フォーラムに、学籍番号を明記し(氏名は不要)投稿せよ。 個人や友人間で判断した変更は、先に記載した様に、減点対象になる。

友人にヒントなどを教えてもらうことは構わないが、必ず自分で考えた 結果を提出すること。極端に類似の(丸写しの)レポートがあれば、全て0点と 評価するので注意すること。