原子力エネルギー工学特論レポート(3)
問題
以下の設問に解答せよ。
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問題1
自己点火状態のDT核融合炉では、3.5MeVのα粒子が炉心プラズマの加熱を行い、
14.1MeVの中性子が運ぶエネルギーを熱として取り出すことになる。
(a) もし、3グラムの三重水素と2グラムの重水素が完全に反応したとすると
熱出力は何Jとなるか?
(b)
天然に存在するトリチウムの多くは、宇宙線と気体分子の反応で作られ、
その量は地球全体で年間約1018Bqである。
このトリチウムを全て用いると
熱出力1GWのDT炉をどれくらいの時間運転できるか?
(ヒント)トリチウム1グラムが何Bqの放射能を持つか分からない場合は、
半減期12.32年を秒単位に換算してから崩壊定数を計算し、
1グラム中のトリチウム原子数を掛けて計算せよ。
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問題2
トカマクなどの
磁場閉じ込め核融合炉の概念設計では
ベース発電量を賄う
定常炉となっているのに対し、
慣性核融合炉では電力需要のピーク変動に対応できる
パルス炉である。
両者の閉じ込め方式及び高額設計の違いから
この概念設計の違いが生まれる背景を論ぜよ。
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問題3
日本ではあまり実例がないが、海外では核分裂・核融合ハイブリッド炉の概念
設計がしばしば報告されている。
授業中に紹介したマイナーアクチノイドの分離変換プロセスに
核融合中性子を積極的に利用する可能性について
自由に論ぜよ。
(ヒント)DT中性子の様な高エネルギー中性子は
(n,2n)反応等の増倍を起こし易い。これに対して、
リチウム6から
トリチウム増殖を行うには低速の中性子ほど有利である。
中性子の拡散・減速を考えるとどのような複合炉心の構成
が好ましいか?
注意
解答は、こちらの用紙をプリントアウトし、
氏名などを記入して、手書きすること。ワープロ作成やルーズリーフや市販の
レポート用紙の使用は不可とする。1ページを原則とするが、必要であれば
追加ページを認める。ただし、裏面への記入は無効とする(評価しない)。
複数枚の解答用紙全体を
ホッチキスなどで留めることは固く禁止する。(クリップ留めは良い。)
友人にヒントなどを教えてもらうことは構わないが、必ず自分で考えた
結果を提出すること。極端に類似の(丸写しの)レポートがあれば、全て0点と
評価するので注意すること。
レポート受付は原則月曜1コマの授業終了時とする。
最終提出期限は8/4とする。それ以前の提出も歓迎する。
(last modified at 30th June 2014)