X線管は電子源と高圧電源さえあれば、けっこう簡単に作れます。 でも待って下さい。 市販の装置を買ったり自作の装置を作る場合に、 例外的な免除があるにせよ、 原則として以下の手続きが求められます。
作業環境測定を月に1回(装置を固定し、使用方法や遮蔽が一定の時は 6ヶ月に1回)する。自己遮蔽型X線装置は装置表面が管理区域境界になるので 作業環境測定の対象にはならないが、年に1度の漏洩線量の測定が望ましい。 病院で使われている移動型X線装置がおかれている部屋でもこのような環境測定がなされています。
例外として挙げられている自己遮蔽型X線発生装置は、工学の研究室でいくつもあります。 装置には小さく管理区域の特徴的なマークが見えます。 つまり、工学の建物にも実は小さなX線管理区域が存在する訳です。意外だったでしょう。 この装置は、内部にのみX線が発生し、人間が内部に入る事ができない、 扉が開いていると X線は発生しない、などをメーカー保証しているため、例外規定の対象になっています。
自己遮蔽型X線発生装置においても、 X線発生装置の透過写真の利用者には、撮影作業(1.5時間)、総遅構造と取扱(1.5時間)、 生物影響(0.5時間)、法令(1時間)の教育を行う。 教職員は健康診断が義務づけられており、学生もそれに準じるべきである。 現実には大学等では、放射線作業従事者と同様の扱いがなされている。
クルック管からもX線が出ています。 X線発生装置を自作するのはそれほど難しいことではありません。 ただ、この様な自作装置は、自己遮蔽型X線発生装置とは見なせません。 核融合実験装置 の講義で紹介した40年前のトカマクの近くにもX線警報装置があり、 逃走電子ばかりのプラズマ放電を行うと当時の指導教員にしかられたものです。 その先生は、積算のX戦線量の記録をしておられました。
大型のシンクロトロン放射光施設については簡単に紹介しましょう。 軌道放射光を光源として用いた この様な放射施設は日本でも世界にも多数あります。 名古屋大学のシンクロトロンは、あいちシンクロトロン光センターとして、平成25年から稼働しています。 「X線分光」という教科書に施設の情報が紹介されているものに 日本のフォトンファクトリー、ドイツのBESSY スイスのSLSなどがあります。 2024年度からは、豊北大学のナノテラスが本格的に利用が開始されます。
プラズマ中の電子が、イオンに近づく時の軌道は、双曲線状で、その形状は 十分離れたときの相対速度vと衝突パラメーターbできまります。 加速度を受けた電荷から放出されるエネルギーは電磁気学から計算できます。 非相対論の式のaは加速度、相対論の式でβ=v/c、γは相対論因子です。
パラメーターαをつかって加速度を計算しています。非相対論です。 電子が1回の衝突の間に放出するエネルギーを計算します。 衝突パラメーターの異なる電子の寄与を足しあわせると 放出されるX線のスペクトルが評価できます。 プラズマの場合は、電子の速度分布をかけて最終的にX線スペクトルが 決定されました。 シンクロトロンや自由電子レーザーの 場合も、しかるべき電子軌道をモデル化する事からスタートして 同様に評価できるでしょう。
特性X線については、量子力学的な束縛状態の電子を考慮する必要があるので 放射断面積の量子力学的計算が 必要になります。
太い線束を利用するときはビルドアップ係数の考慮が必要。